2017年冬アニメ「ガヴリールドロップアウト」の感想です。

うかみ先生による原作は「コミック電撃だいおうじ」にて連載中で、単行本は第5巻まで発売中。

うかみ先生を応援するために、単行本を買いましょう。

天使と悪魔

舞台は「かわいいは正義」でお馴染み(ばらスィー先生が第1話のエンドカードを描かれています)の静岡県浜松市です。ザ・日常系の街になりましたね。「ふが」も日常系アニメで問題ないと思いますふが。

天使と聞いてまず思い浮かべたのは「天使ちゃんマジ天使」でした。彼女は天使と呼ばれているだけで実際は違うわけですが、それでもいわゆる天使のイメージに合致するように思えます。逆に悪魔のほうは「エンディングが見えた」が最初に出てきました。彼女たちもまた少し異なり、悪魔というよりも地獄の使者と言ったほうが近い気もします。どちらにせよ、悪魔のイメージとはちょっと違うでしょうか。

本作「ガヴリールドロップアウト」に登場する天使と悪魔は、名は体を表さないじゃないか、と言いたくなってしまうような、そんな作品になっています。つまり、天使っぽくない天使と悪魔っぽくない悪魔ということです。そもそも、天使は善で悪魔は悪、というような単純な式に当てはめていいのでしょうか。

天使皆が清き心を持っているわけではないように、悪に染まった悪魔しかいない、というようなことではないのが世の常というものです。性善説や性悪説のように生まれたときから既に人格が決まっているなどというのではなく、育った環境や周りの人々との関係の中で人格が形成されていく、といったような主張が本作含めて天使や悪魔を扱った物語からは垣間見えます。

なるほど、思っていた以上に深いテーマですね。

語る、などと言っていますが要するにただの感想文です。ご了承ください。

天真=ガヴリール=ホワイト(天使)

学校をサボってネトゲ三昧のガヴリール。天界にいた頃は優等生だったのに、ネトゲなど下界の娯楽に触れたことで怠惰でぐうたらな駄天使になってしまいます。高校入学当初は、サラサラの金髪に透き通った碧眼でお人形さんみたい(ヴィーネ録)という美少女で、第1話のアバンではその様子が描かれているわけですが、なるほど天使とはかくあるべきというような美少女です。だというのに、人類滅亡を願うまでに落ちていくとは。下界の娯楽、特にインターネットというものは本当に恐ろしいものですね。

そんなガヴリールも、優しい心はほんの少しですが残っているようです。第7話でヴィーネが体調を崩したときのお見舞いでは、顔に落書きしたり宿題を移させてもらおうとするも、しっかりとお見舞いの品も用意していました。また、第11話でサターニャが犬と一緒に暮らせるように、週1ですら嫌がっていたバイトを週2に増やすことでマスターにお願いするなど、駄天使だの何だの言ってもやっぱり天使な側面はありました。

月乃瀬=ヴィネット=エイプリル(悪魔)

真面目で世話好きで、困っている人がいると放っておけない性格のヴィーネは、悪魔らしくない自分に悩みます。第7話では、魔界からの仕送りが減っている原因が悪魔っぽいことができていない自分にあると考えます。いろいろと試行錯誤するも、悪魔っぽい行為に慣れていないために尽く失敗するわけです。最後、制服の着崩しが悪魔っぽいとサターニャに言われたとき、大喜びしながらガヴリールと喜びを分かち合おうとする姿(ガヴリールは困惑するも)は、天使以外の何者でもありません。

またイベントごとには常に力を入れます。夏休みは旅のしおりを作成し、ハロウィンではコスプレをし、悪魔なのにクリスマスを祝ったり、初詣に行ったり。それというのも両親の影響なのか、幼い頃からヴィーネを楽しませるために両親が家族イベントを欠かさずやってきたのでしょう。第10話の家族3人でハイキングしている様は、それまでのヴィーネの人生もほんの少しだけ見えてくるようでした。家族愛って素晴らしいですね。

胡桃沢=サタニキア=マクドウェル(悪魔)

サターニャは地獄を統べる(予定の自称)大悪魔。日々悪魔的行為を考えて実行するわけですが、どれもしょうもない行為で、やったらやったで先生やガヴリールに怒られて泣くという、大悪魔への道は非常に険しいようです。が、どうもサターニャ的には、第10話で弟に言っているように、悪魔的行為は雰囲気が大切なだけでその内容は重要ではないと考えているようです。むしろ、悪魔的行為をしている自分に酔っているようにも見えます。まさに愛すべき馬鹿。

魔界通販で胡散臭い物を買いすぎたり、ラフィエルに毎度玩具にされたり、ガヴリールにやり込まれたり、超が付くほどの騙され体質。ラフィエルのことを警戒するも結局は罠にハマって泣いたり、人を疑うということをしないのでしょうか。また、変人っぷりの格が違うと委員長にも言われているように、どうやらそれ故に人付き合いも苦手なようで、第2話ではぼっち飯をしていました。泣けるガヴドロ。

白羽=ラフィエル=エインズワース(天使)

もう1人の天使ラフィエルは、下界での生活が思っていたよりも退屈で少し失望していたとき、犬と本気で喧嘩していたサターニャに出会います。そんなサターニャに、彼女と一緒にいれば面白いことをどんどん引き起こしてくれるだろうと思ったのでしょう。そうしてサターニャ弄りが始まったのでした。確かに、第三者の視点から見るトラブルほど面白いものはないですからね。

そんなラフィエルですが、天界で過ごしていた頃はより退屈な日々を過ごしていたのではないかと思いました。天使学校にサターニャみたいな子がいるとも思えませんので、きっとどこかで小さな楽しさを見つけていたのかもしれません。第10話、暇を持て余しているガヴリールとラフィエルの姿は、もはやヴィーネとサターニャ無しではダメなようでもありました。素敵な友達に出会えて本当に良かったですね。

程よい個性を持った素敵なサブキャラ

人間界のキャラが良い、すごく良いです。なぜかサターニャのメロンパンばかりを狙う犬、どうみてもカタギじゃないグラサン先生、クロスワードが趣味で暗算が特技で踏み台昇降が日課の委員長、ブレンドコーヒーには自信があるのになかなか褒めてもらえないマスター。深くは掘り下げませんが、サブキャラの個性が良い感じのバランスになっているので、ぶっ飛んでいる天使悪魔組とも調和が取れているように思えます。

ガヴリールが好きです

本作のキャラはみんな大好きですが、やっぱりガヴリールがイチオシです。あの自由奔放な生き方、正直憧れます。天使だからといって天使らしく振舞うことはせず、自分のやりたいことにただただt全力で取り組む。なんて格好良いんだ。

ガヴリールファンへのおすすめは第3話。エッチな声を出します。え?エッチじゃない?何を言っているんだ。現役女子高生の富田美憂さんの演技ですよ、それのどこがエッチじゃないって言うんですか。あと、照れている感じもとても良いですね。普段はジト目でやる気ない雰囲気を醸し出しているのに、普通の女の子らしい反応を見せるだなんて、このギャップがたまりません。

第9話、甘酒で酔っ払うガヴリールも良いですね。酔わせたい。

天使と天使と天使と天使

天使だとか悪魔だとか、そういった肩書だけを見て彼女たちの本質を見ようとしないのは、いろいろなものを損しているように思えます。

だからもう、美少女は総じて天使ということでいいと思います。